雅な時間 紅 Vol.10 (第20話「吐露」)
-雅と私、レトロスペクティブな時間- 第20回
Makkyです。例大祭人生初参加してきたよー。
初見の方、詳細を知りたい方はコチラへどうぞ → http://cysmakky.exblog.jp/17382733
レトロスペクティブ東方-雅-
第20話「吐露」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20885626
※動画のネタバレを多大に含みます。
下記をお読みになる前に是非動画をご鑑賞ください。
1部はこちらよりどうぞ。
あらすじ
平穏という幻想郷での日常が早くも崩れ去ろうとしていた史規の前に現れたのは、自称烏天狗の新聞記者と名乗る射命丸文であった。史規の客室は紅魔館の地上5階であったが、彼女の持つ翼がそれを「なぜそこにいられたのか」の矛盾を解く。しかしながら、彼女が「なぜここにきたのか」の動機はいまだ不明瞭。史規はまたも自分の名前を知る存在が現れたことに安易な警戒を解かず、会話を続ける。
『ご当地アイドル』と皮肉めいた言葉であったが、史規が「異変」の渦中であることを告げると、彼はそれを受け反復。すでに自分がこの異世界に幻想入りしたことは幻想郷の住人達に知られていること、そして幻想抜けを果たし、元の世界へ帰るということがすでに異変である事実を彼は改めて悟る。
これまで、自分が会って来た全てを巻き込んでいるだけかと思っていたが、その逆。何かそこにはまだ見えぬ意図があったからこそ、これまでの彼女達は史規に関与していたのだとすれば。
史規はそれを察し、射命丸に対して「なぜここにきたのか」の動機として「記事を書くことが異変を解決する為に必要なのか」と問う。射命丸の出した答えはNO。彼女は直接関わることはしないと告げる。しかし、史規は知らない。彼女こそが史規を紅魔館に運んだ張本人であることを。出会いがしら「お話するのは初めて」と告げた裏には、「すでに一度会っている」という意図が隠されていたことに、このとき史規は気付けたであろうか。間髪いれず射命丸は続け、「取引」を持ちかける。彼女にとって史規の異変が続くことは「特ダネ」なのだという。それを終わらせないため、とある質問に本音で答えてほしいと促すのだった。
射命丸の指す質問。それは言葉として発してはいないが、「今自分はどうしていきたいのか?」といった旨の内容だったのだろう。結果的に誘導尋問めいた形となったが、史規に今の心境の内を打ち明けてもらうため、射命丸は葛藤する史規に対し、未練があると指摘。それを受け、ついに史規は自分で自分を偽りきれぬ感情が高騰し、吐露となって自身の葛藤の正体を打ち明けるのであった。
-帰りたい。でも帰りたくない。
自分の歩んできた経路が未練というジレンマを生み、結果迷霧へと誘う。自分自身の純粋な本音と、約束を守ろうとする頑なな意志が激突しあう。そのどちらも彼にとっては正しく、平等に大切なもの。それ故に優先すべき判断に決着を付けずにいたのだ。かつての魔理沙とレミリアとの激突は、そんな彼の心情を具現化したものではないか?と今にして思える。
それを受け射命丸は、今回のようなことははじめてではないということを告げ、だからこそいつもと違う結果に期待したいと述べる。それが彼女のいう「特ダネ」であり、史規の今後を見据えたうえで、彼の前から風となって消え失せたのだった・・・。
舞台は移り、紅魔館の図書館。史規にとって記憶を取り戻す日常も、あれからすでに数日が経過し、細かいところまで思い出せるにまで至っていた。だが、核心たる記憶である、苗字、両親、住所が未だ思い出せずにいた。それは即ち自分自身の証明ができないこと。ましてや自分以外に元いた世界にいた身内すらいないこの異世界で、この記憶の喪失は「元いた世界にいたこと」自体の証明にも繋がらないと悟る。
-俺に俺を見つけさせてくれ。
パチュリーにもうひとつの本音を吐露し、それを受けて差し渡されるは前の外来人による最後の手記。この先には何か引き返せない真実が待っているのだろうか。
-忘れることもできる。
パチュリーは忠告ともとれる意味ありげな言葉を囁き、史規にその先を委ねるのであった・・・。
前話からの伏線もあり、かなりシリアスな展開に息を呑むほどであったが、美鈴と小悪魔のやり取りが雰囲気をぶち壊す。だが逆にそれが活かされ「静」の回でかつ、動画の実質時間が18分以上の長さでありながら、退屈と感じさせない飽和加減が見事。後半部分は特に物語の展開に合わせた音楽の盛り上がりもあり、そのシンクロさがこの作品の真骨頂であることを改めて痛感する形となった。
キャラクター
今回は射命丸、パチュリーのそれぞれからOPと似たようなセリフ(全く同じではない)が、発せられる。伏線が次々と収束してきているかのようだ。
射命丸文
「未練がある人は・・・諦めが悪いものです」
ここまできてみれば彼女のいう「特ダネ」に直結するセリフであったことを悟る。帰りたいけど帰りたくないと思う史規の一見矛盾した本音が、此度の幻想抜け異変にどのような結果をもたらすのであろうか。
パチュリー・ノーレッジ
「何処にも書いてないものは知らなくていい」
彼女の最後のセリフとを読み取ると、「知ることは重要だが、中には知らなくていいこともある。仮に知ってしまったとしても、いつか忘れることもできる」という知ることの大切さとは対照に、あえて知らずにいることも同じように大切であると論しているかのようだ。知識の塊である彼女のこのさりげない言葉は誰よりも深い。
雅な考察
真実に向け、本編での本質的なネタバレが明かされる前にここまでの情報でできうる考察を並べてみよう。
自分の証明
苗字、両親、住所。これが自身を証明する要素だという。ふと思ったのだが、史規はかつて引っ越し業者のバイトをしていたことを思い出した。さらに一人暮らしをしていたかのような描写から生活のための仕事に就いていたことも察することもできる。ならば持っているハズなのである、運転免許証、あるいは住民票なり保険証を。幻想入りし、博麗神社でありったけの小銭をぶちまけたシーンから察するに財布はそのとき持っていたこともすでにわかっている。史規の性格を考慮するとこれらの本人証明証のいずれも持ち合わせていなかったというのはどうにも考えにくい。加えて、これらの証明証には本名、住所、生年月日といった情報は記載されるが「両親の名前」は特に必要としない点にも着目。彼がこのことに気付かないでいることは不自然だし、我々の世界でいう自分の証明とも少しばかり食い違いがある。これは一体どういうことなのだろうか。
過去の考察でも「史規は元々紅魔館(幻想郷)の人間なのではないか?」と述べたが、済んでいた世界がそもそも違っていたのであれば上記の証明においても半ば納得できる点も生まれてくるのだが、それでも幻想入りする前の記憶が確かに残っていることの疑問が無くならない。どっちをとっても彼の存在自体に矛盾が生じてしまうのだ。っとなれば。此度の幻想入りが異変と扱われる理由にこれまで幻想入り~幻想抜けという彼の「行動」に問題があると思ってきたが、彼の「存在」そのものに問題があったとすれば・・・?彼の自分への証明は今後の重要な伏線になりそうだ。
一体彼は何者なのだろうか。
パチュリー様分
小悪魔の発したセリフ。曰く「プレミア物」らしい。まぁ、あの小悪魔だからこそ彼女に限っての話だろうが。普段から本の虫であるパチュリーからしてみれば、熟読することは当然なので、パチュリーが特にお気に入りにしていて何度も読み返している本ということだろうか。何度も触っているのであれば、当然小悪魔流の「パチュリー様分」は染み付くであろうことも頷ける。ある種、違った意味でパチュリーを崇拝している彼女にとってそれはまさに貴重な本であり、丁重に取り扱えということだろう。
とはいえ、プレミアとはかなりの稀少さから価値ある品物を指す言葉だ。これだと図書館にあるほぼ全ての本が彼女にとってはプレミアという形となってしまい、特別感が失せてしまう。そこには意味がある筈だ。彼女に「プレミア物」と称すだけの、何かが。本編の小悪魔はかなり腐っていることは周知のとおり。パチュリーの行動のひとつやふたつなど筒抜けなのであろう。以前、パチュリーは史規にはじめて手記を渡した際、「もう寝る」として部屋を離れた。あのときは本来睡眠を必要としない魔女である彼女なりの気遣いかと思っていたが、パチュリーに睡眠をとる習慣が本当にあったのだとしたら。あの小悪魔のことだ、それを見逃さないハズはない。例えば本を読んでいてつい、転寝をしてしまうなんてことがごく稀にあったのではないだろうか。そしてうっかり開いていた本に顔ごとうつ伏せてしまうなんてことが仮にあったとしたら。小悪魔からしてみれば大チャンスフィーバーである。パチュリーの寝息やら吐息やら、あわよくば涎やらがまさに染み付いた稀少本といえよう。
夜な夜な小悪魔はその本を使ってあれやこれやしているに違いない。
そうであろう?(ドヤァ)
次回、第21話「真実」。
ついに此度の幻想抜け異変の真相が明らかに。
物語はより深層へと至る。
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第20話「吐露」
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※動画のネタバレを多大に含みます。
下記をお読みになる前に是非動画をご鑑賞ください。
1部はこちらよりどうぞ。
あらすじ
平穏という幻想郷での日常が早くも崩れ去ろうとしていた史規の前に現れたのは、自称烏天狗の新聞記者と名乗る射命丸文であった。史規の客室は紅魔館の地上5階であったが、彼女の持つ翼がそれを「なぜそこにいられたのか」の矛盾を解く。しかしながら、彼女が「なぜここにきたのか」の動機はいまだ不明瞭。史規はまたも自分の名前を知る存在が現れたことに安易な警戒を解かず、会話を続ける。
『ご当地アイドル』と皮肉めいた言葉であったが、史規が「異変」の渦中であることを告げると、彼はそれを受け反復。すでに自分がこの異世界に幻想入りしたことは幻想郷の住人達に知られていること、そして幻想抜けを果たし、元の世界へ帰るということがすでに異変である事実を彼は改めて悟る。
これまで、自分が会って来た全てを巻き込んでいるだけかと思っていたが、その逆。何かそこにはまだ見えぬ意図があったからこそ、これまでの彼女達は史規に関与していたのだとすれば。
史規はそれを察し、射命丸に対して「なぜここにきたのか」の動機として「記事を書くことが異変を解決する為に必要なのか」と問う。射命丸の出した答えはNO。彼女は直接関わることはしないと告げる。しかし、史規は知らない。彼女こそが史規を紅魔館に運んだ張本人であることを。出会いがしら「お話するのは初めて」と告げた裏には、「すでに一度会っている」という意図が隠されていたことに、このとき史規は気付けたであろうか。間髪いれず射命丸は続け、「取引」を持ちかける。彼女にとって史規の異変が続くことは「特ダネ」なのだという。それを終わらせないため、とある質問に本音で答えてほしいと促すのだった。
射命丸の指す質問。それは言葉として発してはいないが、「今自分はどうしていきたいのか?」といった旨の内容だったのだろう。結果的に誘導尋問めいた形となったが、史規に今の心境の内を打ち明けてもらうため、射命丸は葛藤する史規に対し、未練があると指摘。それを受け、ついに史規は自分で自分を偽りきれぬ感情が高騰し、吐露となって自身の葛藤の正体を打ち明けるのであった。
-帰りたい。でも帰りたくない。
自分の歩んできた経路が未練というジレンマを生み、結果迷霧へと誘う。自分自身の純粋な本音と、約束を守ろうとする頑なな意志が激突しあう。そのどちらも彼にとっては正しく、平等に大切なもの。それ故に優先すべき判断に決着を付けずにいたのだ。かつての魔理沙とレミリアとの激突は、そんな彼の心情を具現化したものではないか?と今にして思える。
それを受け射命丸は、今回のようなことははじめてではないということを告げ、だからこそいつもと違う結果に期待したいと述べる。それが彼女のいう「特ダネ」であり、史規の今後を見据えたうえで、彼の前から風となって消え失せたのだった・・・。
舞台は移り、紅魔館の図書館。史規にとって記憶を取り戻す日常も、あれからすでに数日が経過し、細かいところまで思い出せるにまで至っていた。だが、核心たる記憶である、苗字、両親、住所が未だ思い出せずにいた。それは即ち自分自身の証明ができないこと。ましてや自分以外に元いた世界にいた身内すらいないこの異世界で、この記憶の喪失は「元いた世界にいたこと」自体の証明にも繋がらないと悟る。
-俺に俺を見つけさせてくれ。
パチュリーにもうひとつの本音を吐露し、それを受けて差し渡されるは前の外来人による最後の手記。この先には何か引き返せない真実が待っているのだろうか。
-忘れることもできる。
パチュリーは忠告ともとれる意味ありげな言葉を囁き、史規にその先を委ねるのであった・・・。
前話からの伏線もあり、かなりシリアスな展開に息を呑むほどであったが、美鈴と小悪魔のやり取りが雰囲気をぶち壊す。だが逆にそれが活かされ「静」の回でかつ、動画の実質時間が18分以上の長さでありながら、退屈と感じさせない飽和加減が見事。後半部分は特に物語の展開に合わせた音楽の盛り上がりもあり、そのシンクロさがこの作品の真骨頂であることを改めて痛感する形となった。
キャラクター
今回は射命丸、パチュリーのそれぞれからOPと似たようなセリフ(全く同じではない)が、発せられる。伏線が次々と収束してきているかのようだ。
射命丸文
「未練がある人は・・・諦めが悪いものです」
ここまできてみれば彼女のいう「特ダネ」に直結するセリフであったことを悟る。帰りたいけど帰りたくないと思う史規の一見矛盾した本音が、此度の幻想抜け異変にどのような結果をもたらすのであろうか。
パチュリー・ノーレッジ
「何処にも書いてないものは知らなくていい」
彼女の最後のセリフとを読み取ると、「知ることは重要だが、中には知らなくていいこともある。仮に知ってしまったとしても、いつか忘れることもできる」という知ることの大切さとは対照に、あえて知らずにいることも同じように大切であると論しているかのようだ。知識の塊である彼女のこのさりげない言葉は誰よりも深い。
雅な考察
真実に向け、本編での本質的なネタバレが明かされる前にここまでの情報でできうる考察を並べてみよう。
自分の証明
苗字、両親、住所。これが自身を証明する要素だという。ふと思ったのだが、史規はかつて引っ越し業者のバイトをしていたことを思い出した。さらに一人暮らしをしていたかのような描写から生活のための仕事に就いていたことも察することもできる。ならば持っているハズなのである、運転免許証、あるいは住民票なり保険証を。幻想入りし、博麗神社でありったけの小銭をぶちまけたシーンから察するに財布はそのとき持っていたこともすでにわかっている。史規の性格を考慮するとこれらの本人証明証のいずれも持ち合わせていなかったというのはどうにも考えにくい。加えて、これらの証明証には本名、住所、生年月日といった情報は記載されるが「両親の名前」は特に必要としない点にも着目。彼がこのことに気付かないでいることは不自然だし、我々の世界でいう自分の証明とも少しばかり食い違いがある。これは一体どういうことなのだろうか。
過去の考察でも「史規は元々紅魔館(幻想郷)の人間なのではないか?」と述べたが、済んでいた世界がそもそも違っていたのであれば上記の証明においても半ば納得できる点も生まれてくるのだが、それでも幻想入りする前の記憶が確かに残っていることの疑問が無くならない。どっちをとっても彼の存在自体に矛盾が生じてしまうのだ。っとなれば。此度の幻想入りが異変と扱われる理由にこれまで幻想入り~幻想抜けという彼の「行動」に問題があると思ってきたが、彼の「存在」そのものに問題があったとすれば・・・?彼の自分への証明は今後の重要な伏線になりそうだ。
一体彼は何者なのだろうか。
パチュリー様分
小悪魔の発したセリフ。曰く「プレミア物」らしい。まぁ、あの小悪魔だからこそ彼女に限っての話だろうが。普段から本の虫であるパチュリーからしてみれば、熟読することは当然なので、パチュリーが特にお気に入りにしていて何度も読み返している本ということだろうか。何度も触っているのであれば、当然小悪魔流の「パチュリー様分」は染み付くであろうことも頷ける。ある種、違った意味でパチュリーを崇拝している彼女にとってそれはまさに貴重な本であり、丁重に取り扱えということだろう。
とはいえ、プレミアとはかなりの稀少さから価値ある品物を指す言葉だ。これだと図書館にあるほぼ全ての本が彼女にとってはプレミアという形となってしまい、特別感が失せてしまう。そこには意味がある筈だ。彼女に「プレミア物」と称すだけの、何かが。本編の小悪魔はかなり腐っていることは周知のとおり。パチュリーの行動のひとつやふたつなど筒抜けなのであろう。以前、パチュリーは史規にはじめて手記を渡した際、「もう寝る」として部屋を離れた。あのときは本来睡眠を必要としない魔女である彼女なりの気遣いかと思っていたが、パチュリーに睡眠をとる習慣が本当にあったのだとしたら。あの小悪魔のことだ、それを見逃さないハズはない。例えば本を読んでいてつい、転寝をしてしまうなんてことがごく稀にあったのではないだろうか。そしてうっかり開いていた本に顔ごとうつ伏せてしまうなんてことが仮にあったとしたら。
夜な夜な小悪魔はその本を使ってあれやこれやしているに違いない。
そうであろう?(ドヤァ)
次回、第21話「真実」。
ついに此度の幻想抜け異変の真相が明らかに。
物語はより深層へと至る。
by makky_cys
| 2013-05-28 03:39
| レトスペ雅