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Makkyのあしたっていまさ!

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てきとーにまったり。主にSTGや東方を中心としたゲーム系雑記だよ。

雅な時間 白 Vol.12 (第38話「永夜」)

-雅と私、レトロスペクティブな時間- 第39回

Makkyです。
考察に時間を要しました……。
前回の「動」回に対する徹底した「静」回なのですが……とても見逃せない回ですよ。

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レトロスペクティブ東方-雅-
第38話「永夜」


※動画のネタバレを多分に含みます。
下記をお読みになる前に是非動画をご鑑賞ください。
PCブラウザ、またはスマホ横画面での閲覧を推奨しています。


第1部(人形師編)を見直したい方はコチラから↓

第2部(紅魔館編)を見直したい方はコチラから↓





前回までのあらすじ
「人間」対「妖怪」。
冷たい雨の降り注ぐ中、熱を帯びた決闘が幕を開けた。
霊夢が臨む初めての真剣勝負……賭けるは異変の真相と、他ならぬその命。
覚悟を決めた人間の深淵は、強大な妖怪に届くのか。
対する射命丸の底知れぬ力に、史規達も畏怖の念を抱くこととなる。
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今回のあらすじ
まず先に本編動画を観てくださいね。


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激闘の末、傷だらけになるも勝利をおさめた霊夢。
一方、射命丸は傷ひとつなく、此度の決闘に敗北した。
激しい決闘を癒すかの如く、冷たい雨はただひたすら降りしきる。
静寂の続く中、先に言を発したのは敗者である射命丸だった。
この決闘の報酬、 ”射命丸の撮った写真” を自ら提出する。
射命丸の虚ろげな表情は、敗北したそのものもあっただろうが、
これ以降、史規たちの異変に記者として参加できないことへの未練もあったのかもしれない。
それを察したかのような霊夢たちは射命丸を励ます。
ひっそりと隠されていた、あるひとつの真実を史規の前で吐露することで。
それは射命丸もまた、史規のために「繋いでくれた」役者の一人であったこと。

黄昏にて史規との邂逅時に指摘した「未練」は、
射命丸にとってもひとつの蟠りとして残り、抱えていた願望を持っていたことを意味する。
中立であったはずなのに。いつしか追いかけているうちに射命丸もまた、
繰り返される異変の結果を変えたいと心のどこかで思うようになっていったのか。
その意図を史規はしっかりと汲み取り、「ありがとう」という別れの言葉を持って射命丸をあとにする。
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紅魔館。
静寂につつまれていたのは、ここも例外ではなかった。
小悪魔は、主を含めた館の面々がいつの間にか居ないことに気付く。
いつものようで、どこか違う夜。
紅く染まる空は、ここだけでなく幻想郷そのものの歪みを予感させるものに視えるのであった……。

ふと目にすると、そこには一通の手紙が置かれていた。
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射命丸の去ったあと、一同は手に入れた写真の開示に息を飲む。

そこに映っていたのは、白玉楼の主、西行寺幽々子と、全身がツギハギにされた裸の男性。
その男性はどうやら、「前の史規」だという。
紅魔館で妖怪に襲われ、無惨にも散っていったあの日記の男性と同じ魂だ。
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この写真を視ることで、史規に封じ込められていた残りの記憶が黄泉還る。
失敗しても尚、繰り返される転生のループを幽々子は一時的に無かったことにしたのだ。
今の史規が、こうして在る以上、
留められた前の史規の魂は止まった時のなかで、ただひたすら待つ存在となる。
幽々子の狙いは、この片割れの魂を「異変」として昇華させること。
異変として起こり、それをさらに解決されることができれば、二度繰り返されることはされなくなる。
これは、幻想郷の仕組みを逆手に取った策略で成功時には史規の魂を皮切りに、
全ての還る魂に「幻想入り」という選択肢が付与されることを意味する。
言い換えれば今まで在った、輪廻転生というシステムの革命的更新。
幽々子はそのキッカケの種蒔きをしただけであり、
今回の異変を真に開花させるのは、あくまでも博麗の巫女だという見通しがあってこそ。
その先に、システム更新の実りがあると確信していた。

新たな真実が判明し、それを受け、霊夢はひとつの答えを出す。
それは、今の史規の魂を、霊夢の「願い」で幻想入りさせること。
旅立ちの前に尋ねた問いと似ているが、状況が変わった今となっては、この意味合いはまた大きく変わってくる。
潔く快諾した史規の返答も束の間、霊夢たちの背後には大きな障壁が迫ってきていた…。
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一方、史規の置き手紙を読み終えた小悪魔は、
彼女なりに愚痴を吐きつつも、主たちの帰参を迎えるため、
気持ちを切り替えて、夜明けの朝食準備に取り掛かるのであった。
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うーん、深い。
重要度においてもとても深い回。
2部における「真実」に対して、3部のターミングポイントは「霊夢」だと思っていたけど、
そこをさらに乗っかっていく話でした。
今回、新たに明かされたのは大きく3つ。

 1つめは、射命丸の写真と動機。
 2つめは、幽々子の真の狙い。
 3つめは、2部最終回にあった手紙。

今回はこの3つのポイントを中心に、ほかに気付いたところも全部含めて解明していきたいと思う。

射命丸においては、視聴者側は1部から知っていたので、
それがようやく史規本人に伝わったというロジック。
残りの2つはこれまであった布石と伏線が同時に解放された形となった。
静かだけど、物語としてはめちゃくちゃ動いた回なんですよね。
それが前回の「動」の回と対比として描かれているので、凄く面白い。
この「静」の演出にBGMの使われ方もあります。音楽までも終始静かでシンミリした雰囲気のものばかり。
それでいて、どんどん浮き彫りになっていくのでテキスト部分への注力がハンパないんですよ。
普通、激しい戦闘シーンのあとの静の回って、どこか退屈で飛ばしてしまいがちじゃないですか。
そうさせない工夫といいましょうか。
戦闘シーンがあったからこそ、その余韻を残したまま新しく判明する展開を用意することで、
『チャンネルはそのまま!』感が出せているんですよね。
構成においても、射命丸とのやり取りのあとに、紅魔館へシーンが一旦移行するのが素晴らしい。これが巧い。
ここで視聴者に「おや?」ってさせておいて、その疑問をこの話の締めくくりでキレイに回収。
次回以降で、紅魔館組再登場するかもという予感を残していくんですから、そりゃ待ち遠しくなりますよね。

この作品が何故「幻想入りシリーズ」であるのに、それを逆手にとった「幻想抜け」をテーマとしていたのか。
その作者の真意が今回、ようやく明らかになったわけだが、ここで「幻想入り」にしっかりと意味を持たせてくるなんて!
初見時は本当に息を呑んだなぁ、このシーン( ˘ω˘ )
タイトルが「永夜」なのも、また巧み。それもダブルネーミングなのだと悟る。
白玉楼に到着してから一貫して、夜を基調とした背景による視覚的効果により長かった夜が明けようとしていること。
永い間続いた幻想郷のルールが、一夜にして改変されてしまう可能性を示唆していること。
この2つの意味を持つ。物語を紐解いていけばいくほど、これとないタイトルになった。
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射命丸の深層
前回の「射命丸の真意」でも触れたように、
射命丸の直接的な干渉は霊夢(博麗の巫女)にあってこそというのは睨んだとおりだと思う。
そこに付与して、幻想郷の妖怪側の立場として世界の改変は彼女にとっても好ましくない事例といえる。
射命丸は、この異変に対して中立だといいながらも、一個人の考えでは結果は変えたいと思っていた。
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この思いは、最初こそ妖怪としての好奇心から来るモノだったと思うが、
異変を追っていくうちに、様々な要素が重なって次第に大きく募っていったと仮定する。
普段から日常を新聞記者として立ち回り、何か変わったことがあるとそれをペンに書き留める。
そんな彼女の日常にとって、繰り返される異変は異変という体でありながら、日常となんら変わらない。
長寿妖怪である彼女にとっては、この長きに渡る繰り返しも短い年数のように体感していたのかも。
そこにマンネリを感じたのかもしれないというのがひとつ。
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もうひとつは、異変解決の先にある「善行」についての情報。
”ほぼ最初から” 追っていた彼女がこの異変に対するある程度のルールは熟知していたといえる。
実際、魔理沙を紅魔館に誘導したのも、この「善行」について揺さぶりをかけたのがキッカケであるし、
タイミングよく史規を紅魔館へ送り、頃合をはかり未練について言及し、またこの場で決闘に応じた。
これは、偶然というよりも彼女なりの誘導であり、必然行動だったとしたら。
さらに、今回明かされることになった異変の原点ともいえる「真実の写真」からも彼女の行動理念が推測できる。
客観的に見て、あの写真……どこか疑問に感じるところはないだろうか。ズバリ、写真の撮影角度と距離である。
隠し撮りというよりかは、もう堂々と面前でかつ近接で写真を撮っているのだ。これはどういうことか?
超スピードでバレないように撮ったとしても、おそらく幽々子と妖夢の二人を前にしてそれはなかなか難しいだろう。
仮に撮れたとしても、あそこまで鮮明に写すことはできるだろうか。被写体が相当ブレてしまうと思うのだが…。
それに、いくら異変を追っていたとしても、あの時あの場所に幽々子らが来ることを予測できただろうか?
予め待ち構えていてでもしてないと、まずシャッターチャンスは訪れないだろう。
これらの事実から、あくまでも仮説だが、幽々子と射命丸はグルだったのかもしれない。
あの写真は射命丸の独断で隠し撮りしたものではなく、幽々子の許可によって撮影されたものという考えだ。
つまり、射命丸は幽々子の策略どおり、新たな史規(今の史規)の魂がしっかりと博麗神社に辿り着くのを見届け、
その後もアクシデントに備えての監視的な役割をしていたのではないだろうか。
その上で、いずれ霊夢と新たな史規の魂の前に、あの写真が手に渡ることまでも見通していたのだと推測。
射命丸からすれば魂の異変そのものへの干渉は「還す」、「還さない」どちらにも属さないため堂々と中立と言えるし、
仮に巧く誘導できれば、これまでのことをペンに書き留めた「記録」を証拠として、
是非曲直庁に提出することで、ワンチャン善行による報酬を貰えるかもと鼻を伸ばしていた可能性もある。
失敗した場合はお咎めを受けず、大した危険をおかすこともなく、貰えるものは貰う。ローリスクハイリターンな立ち回り。
お互いに利害関係は一致していたからこそ共同したという線。
是非曲直庁や、八雲紫が射命丸自身を自由にさせていたのもどこか説明がつく。
もちろん、作中でそんな描写はないし、断言は難しいが…。
36話「宿命」にて映姫が云う、「幽々子の切り札」とは前の史規のほか、あながち射命丸本人のことを指していたのかも。
射命丸というキャラクターの狡猾さを加味すると説得力は増すかもしれない。
だとすると、幽々子の謀りは相当練られたものだったといえる。
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っと、こう書いてしまうと、なんだか彼女に悪い印象がいってしまうが軽く補足。
決闘後のシンミリした場面で使われていた「風神少女」のピアノアレンジは、
作中で起用されるはじめての射命丸文本人のテーマ曲だ。
実は射命丸の登場するこれまでのシーンは、本来の彼女のテーマ曲とは違う楽曲が使われており、
今回のシーンでようやく持ち曲が奏でられたワケだが、
だからこそあの寂しげな表情とあわせて、彼女一個人の本質が垣間見えたシーンと捉えると感慨深い。
スピード自信ネキはクールに去るぜ。彼女の持っていた真意そのものは前回考察したとおりだと主張しよう。



幽々子の深層
先にいってしまうと、今回の話で此度の異変を仕組んだ張本人が幽々子であったことが明かされる。THE黒幕
第3部のボスキャラというより、事の発端を招いた首謀者そのもの。
ただ繰り返されるだけの魂を形ある異変へと昇華させたのも彼女にとっての序章であり、
そのために様々な幻想郷の住人を”駒”として動かしていった。
博麗霊夢はもちろん、八雲紫、レミリア・スカーレットでさえも彼女の掌であったのかと今なら悟れる。
冥界の管理人ゆえ、四季映姫とも繋がりがあり、白玉楼での密会も何度か行われていたと推測。
此度の企ては、これまでにも考察してきたように、幻想郷そのもののシステム改定が根本にある。
成功すれば多大なるメリットが、しかし失敗すれば大きなリスクをもたらすという諸刃の剣。
黒にも白にも成り得るから是非曲直庁も瀬戸際になるまで介入をしなかったのも、過去回で読み取れる。
彼女は何故そこまでして、今回の企てを実行に移したのか。
先ほど伝えたように、彼女が冥界の管理人だからこそである。
冥界を司る立場な以上、繰り返される魂の存在にいち早く気付いたのはおそらく彼女であろう。
「543回」という明確な数字を把握していたのも、その初回を辿っていたからこそ。
魂は総て、成仏するか、輪廻転生を果たすかその意味を問われるとされる(どちらでもなかった場合は地獄行き)。
これは、かつて史規自身も悟ったことであり、輪廻転生への道のりは想像以上に辛く険しい。
『そういうものだから』と大人の世界ではよくある話だが、
私たちもかつて子供の頃に『なんでそうなんだろう?』とふと考えたことはなかっただろうか。
そこに少なからず疑問を持ったのは魂である史規だけではない、幽々子本人もなんとかできないか?
と考えた結果の行動なのだと強く感じる。
この心情は霊夢が感じていた「博麗の巫女としての立場」に対するそれと同じ葛藤とリンクする。
『決まりだから』。ならばこそ、魂がもっと楽に幻想入りできるように決まりそのものを変えよう……。
っという極々ストレートな動機が発端だろう。これが私の見解だ。
その提案のひとつとして「輪廻転生(還ること)と同じ意味・価値を持った『幻想入り』」という選択肢の追加。
これまでの魂にとっての「幻想入り」というのは、いってしまえばあくまでその場凌ぎでしかなく、通過点。
このことは前の史規による書記にも記載されていたことだ。
その先にある「幻想抜け」を果たすことでようやく、転生への道が開けるのだが、ここを改定させるのが幽々子の狙い。
解りやすく言えば本来のゴールである「幻想抜け」でなく、「幻想入り」そのものをゴールに変えるということだ。
そして、これはいずれ幻想郷全ての魂に平等にもたらされる日がやってくることまで見据えている。
かつて彼女の言った 「きっとここを好きになれる。私が保証するもの」 の意味があまりにも、あまりにも尊い。
そう考えると…、黒幕ではあるが、幽々子のやろうとしていることは物凄い優しさに包まれているよね。
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ちなみに彼女の能力は「死を操ることができる程度の能力」である。
ただ人を殺すだけでなく、死んだあとの幽霊も操ることができるのだという。
ここにレトスペ独自解釈として「死そのものを操る」という発想から、死を丸ごと取り除き、なかったことにした。
さらに、新たに発現した魂(今の史規)に「あっちに行けば素敵な巫女さんに会えるわよぉ」と言霊をしかけたのも、
操る能力の派生といえよう。



パチュリーの深層
なんでパチェさんなの?って思うかもしれないが、ひょっこり出てきた小悪魔のシーンからそれを読み取ってみる。
紅魔館の面々を動かしたのは、史規の置き手紙であったことはまず間違いない。
パチュリーは史規の置き手紙を一番最初に見つけた当人であり、
そのときは自分ひとりでなく、皆の前で一緒に読もうと心の在り方の変化をにわかに表していた。
ところで、一度ケリのついた面々が、手紙の文面「だけで」また再び動くというのは果たしてあるだろうか。
もちろん、史規自身ではなく、あくまでも対象が霊夢や魔理沙に向けていたからこそというのもあるが、
さらにパチュリーの一押しもあったのではないかと睨む。
文面には 「これから知ることがなんであろうと」 と触れた上で、 「どうなろうとも」 で締めくくっている。
パチュリーにとって知ることの重みや大切さは他の誰よりも強く持っており、
覚えたこと、記憶されたことが苦痛であれば、ときには忘れることも必要だという持論がある。
それを踏まえた上で史規の信念は決して変わらないであろうという決意のようなものを、彼女はおそらく悟った。
前の史規に書記を書かせたように、今の史規にその書記を読ませたように。
彼女自身も一度行った、知らないままでもいいことをあえてさせた行動の重みに対する報い。
この手紙の内容を知ってしまった以上、彼のその心意気を汲まないのは自分への偽りでもある…と感じていたら。
何故なら、あの手紙の存在を消し、自分自身も含めて「読まない」という選択肢も取れたからだ。
でもそれはしなかったのは、彼女なりのケジメもあったのだろう。
そんなパチュリーの心情を汲み取ることができるのは、知己であるレミリアである。
親友のため、今一度レミリアは動き、その下につく咲夜や美鈴も同行したとなれば筋は通るかな。
では、小悪魔にだけ知らされていなかった理由とは?
こんなのは簡単である。めんどくさいからである(笑)
小悪魔の性格も把握しているパチュリーは、こんなことを知らせたら絶対一緒についていくといって離れないだろう。
邪魔になるだろうし、何より紅魔館を誰もいない状態にさせるのはいけない。
そのため、小悪魔にだけは、あえて何も知らせなかった。
これも知ることによって招く結果を、パチュリーは熟知しているからうまくできたんだと思う。
一見、ギャグシーンのように思える『こっち見んなって言ったら死亡』という意味不明な書籍を探させたのも、
その時間稼ぎによるものという推測が成り立つ。
『こっち見んなって言ったら死亡』はこちら側に実際にあるカルチャーで、
前の史規からも村上春樹の著書を薦められた経験もあることから、ほかにも色々教わったのかもしれない。
スワヒリ語にハマって布教もしてたし。彼女のツボるものは存外、外来にあるのかも。
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雅な時間

写真の撮られた「時期」
今回で最も重要なファクターである写真。これが撮られた時系列を探ってみる。
前の史規が、野良妖怪に惨殺されてしまったあと、その場をあとにしたレミリア。
すぐさま咲夜が駆けつけ、かつて史規だったモノを目の当たりにする。
このあと、丁重に土葬でも行ったのだろう。
魂である存在が殺害され、仮初の身体はその後どこまで保たれるのであろうか。
仮にある程度の猶予はあるとしても、次なる繰り返し発現のために、前の史規の消失はそこまで長く持たないだろう。
殺害現場は紅魔館付近だとして、その死を幽々子はどうやって知り得たのか。
その可能性は3つ。

①映姫から幽々子へ
レミリアは映姫とも邂逅しており、レミリアからの「失敗」の報を受け、それを白玉楼へ持込んだ。
次の繰り返しまでのタイミングを掴んでいた幽々子は、妖夢とともに赴く。

②射命丸から幽々子へ
幽々子と射命丸の共同説であることを前提とした仮説。
何度か魂の繰り返しを追っていた射命丸は、前の史規の死の現場もどこかで見ていた。
それを幽々子に伝えると同時に、次回(今回の史規)の結果を変えようと試みはじめる。

③幽々子単体の管理能力によるもの
史規の魂は、異質でありその存在を幽々子が予め知っていたのはおかしくない。
霊と同様、魂も操れるとするならば、その魂がいつどこで消えたのか幻想郷内の出来事であれば難なく掌握できた。

①~③のいずれかのルートでもって、幽々子は消失する前の史規の死を取り除くために動く。
それは三日月の夜であった。物語のルートを辿るとこうだ。
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 前略
 何度か繰り返されてきた史規(n/541回目)
      ↓
 前の史規が紅魔館へ辿り着く(542回目)
      ↓
 第21話「真実」手記 ※前の史規が真実に辿り着く
      ↓
 第26話「澄空(前)」 回想シーン ※前の史規殺害
      ↓
 第23話「天覇」回想シーン ※レミリア、異変への正式参入表明
      ↓
 第31話「幽々子」回想シーン ※幽々子、前の史規の殺害現場へ
      ↓
 第38話「永夜」回想シーン ※写真パシャー。今の史規発現(543回目開始)
      ↓
 第2話「博麗の巫女」追憶シーン ※今の史規の魂に仮初の記憶が付与。念願の霊夢と初邂逅。
      ↓
 第5話「約束」回想シーン ※映姫、霊夢にルール説明
      ↓
 第1話~第38話 ※今の史規絶賛活動中

写真では、一度バラバラになってしまった身体を幽々子が修復しているかのように視えるが、
それが肉体の修復なのか、魂の形を人型に戻しているのかは不明。
どのみち、死から間もなく行動に移さなければ此度の策略は侭成らない。
また、今の史規が発現した夜は三日月なのに対し、”幻想入りした”史規が彷徨っている夜は満月だった。
このことから、早くてもおよそ17~18日ほどの日数が経過していたと推測できる。
場合によっては、544回目、545回に時期をズラして誘導が行われた可能性だってあるのだ。
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霊夢の血迷い
幻想抜け異変を解決したことによって得られる、願い事が叶うという報酬。
真実の写真を経て、霊夢の考えにこれを利用して機転をきかす提案が生まれる。
その手段というのが、前の史規をこの手で還し、その報酬として今の史規の幻想入りの許可を乞うというもの。
これまで共に幻想抜けを果たすために駆け抜けてきた二人にとっては、それはまさに真逆の展開。
同時に、この結果は幽々子の策略とほぼ同じような手段ともいえる。
かつて映姫が霊夢に異変のルールを伝えた際、立場として答えはひとつと告げられ、
「博麗の巫女」という『定め』に葛藤してきた。

 -務めと定めは違う。

そんな彼女が博麗霊夢という一人の少女として、自身の在り方を吐露させたのが33話「霊夢」であったとおり。
また幻想郷という世界における彼女の在り方も、36話「宿命」で描かれた。
ここまでを踏まえて、今一度霊夢の心情を解く。
っというのも、ひとつどうしても気になる点があったからだ。それがこのシーン。
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このあとすぐに、八雲紫の障壁が迫ってきているので一見して、それに対する反応と普通は思うだろう。
しかし、動画をよくよくみてみると、史規が返答をした際に霊夢は反応を起こし、
そこから秒経たずして闇が覆っている。ここに若干の「ズレ」があるのだ。
そしてテキストには「ほぼ同時」とあえて書かれている。
レトスペは「間」というものを本当にとことん拘る作品なので、このわずかなズレは意味があるものだと睨んだ。
もしかしたら霊夢の示した反応の真意は別のところにあったのではないか? という視点だ。
霊夢は何故自ら「血迷ってあげる」と申し出たのか。
改めて整理することになるが、そもそもの発端は異変に対する彼女の在り方からはじまる。
映姫から指摘のあったことを押し切ってまで、あくまでも霊夢は個人としての見解を出した。

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その後、何度も史規に対して自らの意志を強く持てと促していた霊夢は、
あくまでも「還る(帰る)」意志を尊重して史規と共に、務めとして同行する。
しかし、史規が「帰る(還る)」意志を示していたのは、あくまでも霊夢のためを想っていたからこそ。
自らの意志よりも第一に霊夢にあった史規の決意は、この頃から不器用ながらも真っ直ぐだったのだ。
ゆえに両者にズレが生じてしまっていた。

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そんな固い意志を持っていた史規に対して、提案を促した霊夢に対する史規の回答は即答。
「霊夢が満足するならば」その道を選ぼう、というピュアすぎる意志。
史規の強い意志に、少女としてふと怖気づいてしまった瞬間があのシーンだったのかも。
あるいは、このやり取りを紫に見られてしまったかもという不穏(霊夢からすれば一番見られたくない相手)とも。
ここまでくると、「史規に還ってほしくない」と思っていたのは霊夢本人であったと察することができる。
霊夢節に云わせれば「でも、あんたが還りたいっていうからここまできたんじゃない!」って気持ち。

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「本当に帰りたくなったら、言って」
霊夢が史規と最初に出会ったときの言葉の意味を改めて想起させてみよう。
私たちは幻想抜けに対する意志そのものの判別のための言葉だと思っていた…………だが今こそ理解る。
これは本当に「それ以上の意味はない」ものだったと。
もっと単純に。ごく自然に。

「本当に帰りたくなった=もう未練がなくなった(もうここにいたくない)」

つまり、もうしばらく居座っていたいと思う気持ちに、
完全に踏ん切りがついたという意志表示を史規自身の口から告げられてしまった……。
と、そう受け取ってしまった。
霊夢は本当は 「還したくない(帰したくない)」 側の人間だったが、
「博麗の巫女」としての立場がある以上、「還す(帰す)」側としてこれを割り切るしかなかったのだ。
前述の射命丸でも触れたが、彼女のメッセージに「未練」という言葉が選ばれていたのも、
史規だけでなく霊夢含めた両者に向けてを作品テーマとして示唆していたからではないだろうか。

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そう考えると史規と同等、もしくはそれ以上に霊夢のほうこそ諦めが悪かったといえる。
覚悟が足りてなかったのは、むしろ霊夢のほうで「自らの意志を強く持て」と自分で伝えておいて、
自分自身がそこに至れていなかったことにハっとした瞬間の震え。
「博麗の巫女」として在る強さとは全く別として、「博麗霊夢」という少女が見せたか弱さ、脆さ。
強かに振舞う彼女のまだわずかに残っていた迷い、戸惑いがごくごく小さく、それでいて如実に描かれていたと思う。
「それで君が満足するのなら」と返され、図星めいた指摘にグサっとやられてしまった反応。
逆をいえば、そんな一瞬の隙を見せてしまったほどに、霊夢もまた史規を信頼していたんだよ…。
色々考えさせられるシーンとなりました。



そして次回、第39話タイトルは「誰が為」。
このシーンから直接繋がってくると考えると、
めちゃくちゃ練られてないですか?……その鐘を鳴らすのは果たして。


Next Dream...




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by makky_cys | 2017-05-30 22:00 | レトスペ雅